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「生殖補助医療のアドオン、その安全性と有効性は?――最新ガイドラインからわかる現状」

 背景および目的

生殖補助技術(ART)は、不妊症治療において革新的な進歩を遂げていますが、治療成功率には依然として限界があり、多くの患者が標準的な治療に追加してアドオンと呼ばれる選択肢を希望します。これらのアドオンは、妊娠率や出産率の向上、流産リスクの軽減、妊娠までの期間短縮を目的としていますが、多くの場合、有効性と安全性に関する科学的証拠が限られています。本研究では、アドオンに関する42の推奨事項を策定し、それらの安全性と有効性を評価することで、患者と医療従事者に質の高いケアを提供するための指針を示すことを目的としました。

 材料および方法

PUBMEDを用いて、2022年8月10日までに発表された文献を対象。

システマティックレビューやランダム化比較試験(RCT)を優先的に選定。

推奨事項は上記の「推奨される」「検討可能」「ルーチン非推奨」「推奨されない」の4段階で分類した。

 結果

以下一部の結果をまとめました。

アドオン名目的推奨事項
子宮鏡検査子宮内膜の異常検出RIF患者に慎重に検討可能
子宮内膜受容性検査胚移植の最適なタイミング判定推奨されない
免疫調整治療(イントラリピッド、IVIG等)免疫系の調整による着床改善推奨されない
人工卵子活性化(AOA)受精率向上特定条件下で推奨
ミトコンドリア置換療法卵子の質向上推奨されない
卵巣活性化(IVA)未成熟卵胞の活性化推奨されない
高濃度ヒアルロン酸含有培養液胚の着床環境改善慎重に検討可能
精子DNA損傷検査精子の質評価推奨されない
酸化ストレス測定酸化ストレスの影響評価推奨されない
特殊精子選別技術(MACS、PICSI等)精子選別精度向上慎重に検討可能
ハッチング補助技術胚の透明帯除去で着床率向上を狙う推奨されない
プロゲステロン補充療法着床後の支持推奨される

 結論

  • ARTにおける多くのアドオンは、科学的なエビデンスが不足しているため、患者へのルーチン使用は推奨されません。
  • 特定の状況下で有効性が示唆される場合でも、安全性と効果を慎重に検討する必要があります。

 考察

  • 患者が現実的な期待を持って治療を受けられるよう、医療従事者が正確で透明性のある情報を提供することが重要です。
  • アドオンの効果と安全性を評価するためのさらなる高品質な研究が求められています。
  • ガイドラインは標準的な治療法を規定するものではなく、個別の臨床判断を尊重するものです。

 私見

アドオンは魅力的な選択肢に見えますが、科学的な証拠に基づいて慎重に選択することが重要です。この記事を通じて、少しでも皆さんの選択の助けになれば幸いです。

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